日本の三大美林、青森ヒバ
青森ヒバは、ヒノキ科アスナロ属に分類される日本特有の針葉樹です。
天然秋田スギ、木曽ヒノキと並んで日本三大美林の一つになっており、その森林面積は、青森県内だけでもで約5万4千ヘクタール、約130万立方メートルにのぼるといわれています。
立派な成木として育つまでに100年かかるといわれ、スギやカラマツと比較すると3倍以上の月日を要します。
時間をかけて成長する分、熟成された美しい色と木目が人々から愛され、高級木材として扱われています。
1966年に青森県の木に指定され、県民に親しまれています。
ヒノキチオールとは
青森ヒバ(学名:Thujopsis dolabrata var. hondae)の木部や根部を水蒸気蒸留して得られる油分から分離・精製して得られる非ベンゼン系芳香族化合物(七員環炭素化合物)であり、トロポロン誘導体です。
この物質は植物より抽出された自然由来成分のため、抗生物質や合成薬品に比べると、高い濃度が必要であったり即効性で劣ります。ですが、副作用や残留毒性が低いといった天然であるが故の大きな利点があります。
抗菌
ヒノキチオールは、黄色ブドウ球菌、大腸菌、チフス菌には100ppmで効果があり、枯草菌、腸チフス菌、赤痢菌、コレラ菌、ジフテリア菌等に対しては100~500ppmで繁殖を抑えます。カビに対しては、約50ppmといった超低濃度でも効果を発揮します。皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚炎を有する場合において皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
ヒトの肌への感作性(アレルギー)
東北大学大学院医学系研究科内科の臨床データ(文献14:2002)によると、[ヒト試験] アトピー性皮膚炎を有する20人の患者にヒノキチオールを含む保湿クリームを2週間にわたって1日2回適用し、7,および14日に皮膚反応を評価したところ、皮膚感作(アレルギー)は認められなかったそうです。
森林浴効果
ヒノキチオールは森林の成分である「フィトンチッド」の一種です。ほのかな森林の芳香をもち、香りによる優れたリラックス効果があることが知られています。
森林を散歩したり、ハイキングすると血圧が下がり、ストレスホルモンが減少することが、独立行政法人森林総合研究所の実験でも明らかになっています。
防虫効果
蚊、シロアリ、ダニ、ゴキブリなどを寄せ付けない忌避効果、殺虫活性も確認されています。 岩手県平泉町にある「中尊寺金色堂」も青森ヒバで造られています。
消臭効果
雑菌から出るニオイを防ぎます。
ニオイを元から分解させるだけでなく、ヒノキチオールそのものが持つ森林の香りで嫌なニオイを包み消します。
食品添加物
防腐剤としての効果があり、自然由来の食品添加物として認可されました。(平成元年)
間伐材原料のメリット
ヒノキチオールの抽出には、青森ヒバの間伐材を使用します。
間伐材とは、森林が効率よく育つために伐採された木材のことです。間伐材とは、森が効率よく育つよう伐採された木材のことです。間伐が適切に行われないと森林は木が密集し過ぎ、繁茂した木の葉によって日光が遮られるため下草が育たず、土壌流出や山腹崩壊の危機が増大し、また生物多様性も低下してしまいます。
間伐が適切に行なわれた森林は、下草も育って樹木が生き生きと成長するだけでなく、水資源の涵養や国土の保全といった森の公益的機能も増大し、CO2をたっぷり吸収する元気な森になります。
(引用元:環境広告.com「国産間伐材利用の意義」)
間伐材の積極的な活用は、日本の美しい森林資源を守り、大切に育てていくことにもつながります。